
昔から夏の風物詩として親しまれてきた「打ち水」。朝や夕方に玄関先や道ばたに水をまく光景は、どこかほっとする風情がありますね。打ち水はただの風習ではなく、ちゃんと涼しくなる理由があります。
そのひみつは「気化熱(きかねつ)」という働きです。水が地面で蒸発するとき、まわりの熱を奪い、このとき地面の温度が下がり、その冷たい空気が風にのって広がることで周りの空気もひんやりと感じられるのです。
打ち水は人の気持ちにもやさしい影響を与えてくれます。地面がしっとりとする見た目や、水がしみ込む音、そしてそこから生まれるちょっとした人とのふれ合い。打ち水には「涼しさ」だけでなく、「なごみ」や「つながり」もあるのです。
ただし、水は大切な資源。水道水をたくさん使うのではなく、お風呂の残り湯や雨水を再利用するのがおすすめです。また、日中の暑い時間より、朝や夕方にまいた方が効果が長く続きます。
自然の力を使って暑さをやわらげる打ち水は、クーラーのない場所でも涼感を得られる手軽で効果的な工夫です。今年の夏、打ち水でひとときの涼を楽しんでみませんか?