
秋の風が少し冷たくなってくると、どこからかふわっと香る焼芋のにおいがしてきます。手にしたときのあたたかさと、ほっくりした甘さに、思わず笑顔になってしまいますね。焼芋は、秋から冬にかけてがいちばんおいしい旬の食べ物です。夏に収穫されたさつまいもを少し寝かせることで甘みが増し、寒い季節にぴったりの「天然のスイーツ」になります。
さつまいもには、食物繊維がたっぷり含まれています。お腹の調子を整えてくれたり、腸の中で善玉菌を育ててくれたりする働きがあります。また、焼いても壊れにくいビタミンCや、余分な塩分を体外に出してくれるカリウムも豊富で、自然の恵みがぎゅっと詰まっています。
焼芋の甘さは、ゆっくり火を通すことでデンプンが糖に変わるために生まれます。しかも血糖値の上がり方がゆるやかで満足感も得やすく、冷やすと「レジスタントスターチ」という成分が増え、腸にやさしく、ダイエット中のおやつにも向いています。
皮ごと食べるとポリフェノールや食物繊維をより多く摂ることができます。1本でおよそ200キロカロリーなので、ご飯の代わりにしたり、小腹がすいたときに半分だけ食べたりするのがおすすめです。ヨーグルトやナッツと組み合わせると、栄養バランスもさらに良くなります。
そして、焼芋のいちばんの魅力は「心まであたためてくれる」こと。寒い日に両手で包むと、そのぬくもりがじんわり伝わり、香ばしい香りとやさしい甘さは疲れた心をそっとほぐしてくれます。旬の焼芋は、自然の甘さとぬくもりを感じられる、小さなしあわせです。ほっとひと息つきたいときに、ゆっくり味わってみてください♪